7月24日 今仕込んでおきたい注目の銘柄 |
今日の相場
本日の為替市場は、日米通商合意の発表というビッグイベントにもかかわらず、方向感に乏しい展開となりました。発表直後こそ円高方向に反応したものの、すぐに買い戻しが入り、最終的には円安の流れが優勢となりました。ドル円は146円台前半から147円台前半まで、約1円の振幅幅で推移し、トレンドを見極めるにはまだ材料不足といえそうです。政治的な不透明感、特に石破首相の8月末辞任報道や次期総裁選の不確実性が、円相場の重しとなっている面も否めません。
一方、株式市場ではサプライズといって差し支えないほどの上昇が見られました。トランプ米大統領がSNSで発表した日米通商合意の内容は、相互関税15%という従来の25%からの引き下げ、日本の自動車・農産物市場の開放、さらに5500億ドル規模の対米投資と、極めて市場フレンドリーな内容でした。これを受けて、日経平均株価は前日比1396円高の4万1171円まで急騰し、午後には一時1567円高の4万1342円と年初来高値を更新しました。終日を通して買い優勢の地合いが続き、取引終了間際まで上げ幅を維持する展開は、投資家心理の劇的な改善を象徴しています。
特に自動車株の上昇が目立ち、トヨタ、ホンダ、マツダ、SUBARU、三菱自動車といった関連銘柄が軒並み大幅高となりました。また、銀行株や保険株、精密機器、電気機器、卸売といったセクターも幅広く買われ、東証プライム全体の8割超の銘柄が上昇するという全面高の様相を呈しました。業種別では全33業種が上昇しており、まさに「リスクオン」の相場となっています。特に、三菱UFJ、三井住友、第一生命HD、キーエンス、伊藤忠、ソニーG、オリンパスなど大型株の主力が揃って買われたことからも、機関投資家や海外勢の資金流入が強く意識される一日でした。
海外では、引き続きトランプ政権がEUとの通商交渉に焦点を移していくとみられ、日本に対して譲歩を引き出した流れを踏まえると、次なるターゲットであるEUとの交渉も荒れる可能性があります。制裁合戦に発展するリスクも孕んでおり、グローバル市場への波及に注意が必要です。
さて、ここからの株価動向についてですが、当面は「日本株買い」の流れが継続する可能性が高いと見られます。ひとまず関税問題という大きな外部リスクが後退したことで、外人投資家の買い戻しが本格化しやすくなっているほか、日経平均が1日で1500円超上昇したにもかかわらず、過熱感というより「出遅れ修正」の色が濃く、さらなる上値余地が意識されやすい状況です。加えて、自動車株の上昇はバリュエーション面からもまだ余地があり、機関投資家のポートフォリオ入れ替えがしばらく続くとみられます。
ただし、8月にかけては注意点も存在します。まずは石破首相の辞任報道と、それに続く総裁選の行方。高市氏や小泉氏の名前が取り沙汰されており、経済政策や外交姿勢の違いによってマーケットが過敏に反応する可能性もあります。また、外部環境では米国の利下げ観測が後退しつつある点や、米中・米EUの貿易協議の行方、加えて中東地政学リスクなども燻っています。
注目すべきは、今週後半の米経済指標や企業決算、そして週末にかけての政局報道の影響です。短期的には、材料への反応が早くなる局面が続くと見られます。日経平均が心理的節目の4万2000円を目指す展開も視野に入りますが、その水準では利確売りも出やすく、40,500円〜41,300円程度のレンジでの値動きに落ち着く可能性が高いと考えられ、需給バランスの調整が入ると予想されます。一方、中期的には米国経済が底堅さを維持し、日本企業の業績も回復基調を維持する限り、押し目は買いのチャンスとして機能するでしょう。金融株や輸出関連株に加え、次のテーマとしては防衛・インフラ・AI関連などが物色の対象になる可能性があります。