7月4日 押し目検索 |
今日の相場
きょうの東京株式市場は、米雇用統計という一大イベントを通過したあとの“材料難”の中での推移となりました。さらに米国は独立記念日で休場ということもあり、外部環境からのインパクトが極めて薄い一日でした。日経平均株価は前日比24円98銭高の3万9810円88銭と小幅に続伸したものの、TOPIXは1.04ポイント安の2827.95ポイントと小反落となり、全体としては方向感に乏しい展開でした。
朝方は米株高と為替の円安基調を受けて日経平均は一時4万円台を回復。午前9時には同226円高の4万12円まで上昇しました。しかし、買い一巡後は上値が重く、利益確定や戻り待ちの売りに押されて失速。その後は再びマイナス圏に沈むなど、前日終値を挟んでもみ合いが続きました。後場にかけても材料難のなかで手控えムードが強まり、結局クロージングオークションで再びプラス圏に転じて取引を終えました。
業種別では、電気・ガス、銀行、証券といった内需ディフェンシブや金融関連が相対的に強く、東電、中部電、三菱UFJ、みずほ、野村HDなどが堅調でした。霞ヶ関キャピタルは大幅増益と株式分割を材料に急騰し、キユーピーや東洋エンジニアリング、クスリのアオキHDなども物色されました。
一方で、海運や非鉄金属、鉄鋼といった景気敏感セクターには売りが優勢で、特に川崎重工、三菱重工、IHIといった防衛関連は軟調が続いています。また、昨日まで堅調だったレーザーテックやディスコといった半導体関連の一角も利食い売りに押されました。ファーストリテやソニーG、トヨタといった主力株もまちまちで、全体としては“循環物色”の域を出ない印象です。
為替市場では、米独立記念日の休場を前に大きな動きは出ていません。米10年債利回りに関する新たな材料もなく、ドル円はじりじりと上値を試すも、144円台で頭を抑えられる展開が続いています。米雇用統計が想定よりも堅調だったことでドル買い地合いが再燃したものの、上昇の勢いは限られており、為替も膠着感が強まっています。
また、今後の材料としては、注目される通商政策の動向が挙げられます。トランプ前大統領による「各国に手紙を送った」「8月1日から関税を支払わせる」といった発言が相次ぎ、7月9日の相互関税発動の期限をにらんだ市場の警戒感がくすぶっています。ただ、市場はトランプ氏の言動にやや耐性をつけており、以前のように一挙手一投足で相場が大きく動揺するような局面は減ってきた印象です。それでも、関税の実行が現実味を帯びれば、実体経済への影響を意識した売りが再燃する可能性もあるため、引き続き注意が必要です。
テクニカル面を見ますと、日経平均は一時的に4万円台を回復したものの、終値では再び下回るなど、心理的節目としての4万円ラインは依然として重い壁となっています。5日移動平均線の傾きはわずかに上向き、25日線も横ばい圏で推移しており、トレンドはフラット。今後、4万円を明確に上抜ける展開となれば上昇トレンド再開の期待が高まりますが、3万9400円あたりに位置する支持線を割り込むようであれば、一転して調整局面に入りかねません。
ファンダメンタルズは、米経済の軟着陸が市場に織り込まれつつあり、利下げ時期に対する思惑が相場を揺らし続けています。次の焦点は今週後半から来週にかけて発表される米ISM非製造業景況指数やPPIなどのインフレ関連指標に移ります。また、8月にはジャクソンホール会議が控えており、ここでのパウエルFRB議長の発言も注目されます。日米金利差や地政学リスク、米中対立といった不確定要素は依然として多く、先行きを楽観視するには時期尚早と言えそうです。
現在の日本株市場は外部環境の影響を強く受ける中、短期的にはもみ合い・調整色が続きそうですが、下値は押し目買いが入りやすく、全体としては底堅い印象もあります。ファンダメンタルズが大きく崩れていない中で、テクニカル的な節目を意識した機動的な売買が続くと見られます。来週にかけては再び重要経済指標が控えており、4万円ラインを巡る攻防が続く見通しです。押し目狙いは有効ですが、無理に上値を追わず、ニュースフローに敏感なリスク管理が引き続き重要です。