7月10日 今仕込んでおきたい注目の銘柄 |
今日の相場
本日9日の東京株式市場は、為替市場における円安基調を追い風に、日経平均株価は132円47銭高の39,821円28銭と続伸しました。TOPIXも11.62ポイント高の2,828.16ポイントと堅調な値動きとなりました。
朝方の東京市場では、米株市場がまちまちとなったことを受け、買い先行でスタート。特にナスダックやSOX指数が上昇したことから、国内でもハイテク株に買いが集まりました。寄り付き直後には日経平均が一時282円高まで上昇する場面もありましたが、その後は戻り待ちの売りに押されて一時マイナス圏に転落。ただ、後場に入って持ち直すなど、1日を通じて方向感に乏しい展開ではあったものの、底堅さは維持されました。
今回の相場の背景にあるのは、トランプ前大統領が日本に対して25%の関税を課す方針を示した点です。8月1日までの交渉猶予が設けられているとはいえ、輸出の減少は確実視され、将来的な実需減少が円売り圧力を生んでいる構図です。実際、ドル円は一時147円台を突破し、6月の高値148.03円が視野に入る展開となってきました。クロス円も総じて強く、ユーロ円は172円台、ポンド円は200円に迫るなど、円全面安の様相を呈しています。
国内政治にも市場は敏感に反応しています。参院選における与党の過半数割れ観測が浮上し、財政政策に対する不透明感が拡大。特に保守的野党の支持が伸びており、給付政策や消費減税が争点になる中、国債増発リスクが意識され、超長期債利回りの上昇も続いています。こうした“日本売り”の側面も、円安トレンドを補強しています。
セクター別では、石油・石炭製品や鉱業、その他金融業、不動産、輸送用機器が相場をけん引しました。出光興産、ENEOS、INPEX、トヨタ、ホンダ、野村HD、大和証券Gなどが上昇し、円安メリットを享受しています。また、JCRファーマは米バイオ企業との提携を材料に大幅高となりました。
一方で、非鉄金属や機械株、電力・ガス株が軟調。フジクラや住友電工、ディスコ、三菱重工業などが売られました。個別では、前期業績の下振れでハニーズHDが急落、西武HD、アイル、日置電機なども値下がり率上位となりました。海外市場では、トランプ前大統領が関税上乗せ猶予の延長を否定したことから米株は警戒ムードが強まり、NYダウは続落。一方でAI関連に支えられたナスダックは底堅く推移し、指数全体はまちまちで終了しています。
為替は、ドル円が147円台に到達し、6月の高値を試す展開。FOMC議事録の公表を控えて様子見ムードもありますが、円の需給構造には依然として偏りが見られ、円キャリー取引の再活性化も話題となっています。
一方で、参院選で与党が過半数割れとなるような事態が現実味を帯びれば、日本の財政リスクへの懸念から超長期金利の上昇が加速し、国債価格の下落(利回り上昇)→外債投資回避→円売りという一連の流れが強まる可能性も否定できません。
8月1日の関税発動猶予期限が最大の注目点です。交渉が進展すればサプライズ的な買い材料となり得ますが、トランプ前大統領の発言は予測不能な面もあり、交渉の難航や突然の関税発動には警戒が必要です。また、国内では参院選情勢が政策期待や失望に直結するため、選挙関連報道にも注意が必要です。
テクニカル面では、日経平均が再び心理的節目の4万円に接近しています。複数回トライして跳ね返されている経緯があるため、現状は39,300円〜40,000円のボックス圏でのレンジ推移とみられます。RSIやMACDなど主要指標も方向感が出ておらず、トレンドレス状態が続いています。
ただし、ドル円が148円台を明確にブレイクし、円安トレンドが加速すれば、輸出株主導で日経平均が4万円台を一気に突破するシナリオも視野に入ってきます。その場合、短期筋の買い戻しが連鎖的に発生し、上値のフシを超えてくる展開も期待できます。
今日は円安や米株堅調を背景に続伸となったものの、上値追いには慎重な姿勢も根強く、トランプ関税や参院選をめぐる不透明感が心理的な重石となっています。今後1カ月は「8月1日」という明確な期限が意識される地雷原相場が続きそうです。