7月11日 押し目検索 |
今日の相場
日本市場は、米国株高という明るい外部環境を受けながらも、足元ではやや神経質な展開が続いています。日経平均株価は11日、前日比76円68銭安の3万9569円68銭と続落。一方で、TOPIXは10.90ポイント高の2823.24ポイントと反発し、相場の地合いとしては強弱まちまちとなりました。
市場全体としては、米国の株高を背景に買いが先行する場面も見られたものの、ファーストリテイリング(9983)の決算が市場予想を下回ったことから急落し、これが指数全体の下押し要因となりました。特に日経平均は、同社1銘柄だけで260円程度の押し下げ要因となっており、時価総額加重型指数の構造的なリスクが浮き彫りになった格好です。
セクター別では、鉄鋼、パルプ・紙、海運といった景気敏感株が堅調でした。とりわけ日本製鉄(5401)やJFE(5411)など鉄鋼株の上昇が目立ちました。一方で、非鉄金属や電気・ガス、情報通信、サービス業などには利益確定売りが広がり、業種間での明暗が分かれる展開となりました。
個別銘柄は、決算が好感された三光合成(7888)がストップ高となり、セレス(3696)やスギHD(7649)も値を飛ばしました。半面、U-NEXT(9418)は決算が市場コンセンサスを下回り大幅安。GMOインターネット(4784)、ベルク(9974)なども売り込まれる展開となりました。こうした動きは、決算シーズンの真っ只中において、業績に対する期待と失望の差が株価にストレートに反映されていることを示しています。
為替は、トランプ前大統領の「関税外交」が再び市場の材料として浮上してきました。ブラジルに50%、そして本日はカナダに35%の関税を発表したことにより、ブラジルレアルとカナダドルは急落。相手国通貨への圧力が強まりつつあるなかで、ドル全体には緩やかな上昇圧力がかかっています。ドル円も一時的な円高圧力に押される場面はありましたが、基本的には145円台後半~146円台前半のレンジ内での推移となっており、クロス円(ユーロ円、ポンド円など)はむしろ円安方向に振れています。
こうした為替の動きは、日本の輸出企業の業績にとってプラスに働く面もありますが、同時に外部リスク(関税、政治)の顕在化という観点では注意が必要です。
米国では週次失業保険申請件数の予想外の減少により、早期利下げ期待がやや後退したものの、FRBのウォラー理事によるハト派的な発言が市場心理を支え、ナスダックは連日で史上最高値を更新しています。一方で、トランプ関税への警戒感は継続しており、市場には常にサプライズ政策に対するリスクプレミアムが意識され始めています。
また、国内では7月20日に予定されている参議院選挙が、政治的な不確実性として浮上しています。政権与党の苦戦が伝えられる中、経済政策の継続性や予算編成への影響が懸念され、市場のリスク回避的なムードにつながる可能性があります。
テクニカル的には、日経平均は4万円という心理的節目を前にして連日で上値を抑えられており、RSIは60台で頭打ち感、MACDも横ばいでモメンタムは低下傾向にあります。25日移動平均線(現在は3万9100円前後)がサポートとして意識されており、この水準を割り込むか否かが今後のトレンド転換の鍵となります。TOPIXに関しては逆に広範な銘柄に買いが入りつつあり、中小型株やバリュー株の選別的な上昇が継続しています。
日本株市場は現在、米株高を追い風に一定の底堅さを保ちながらも、ファーストリテなど個別大型株の動向に左右されやすい地合いが続いています。短期的には、企業決算を材料に個別物色の流れが継続する可能性が高い一方、為替や政治イベントなど外部要因によって方向感が出にくい展開も予想されます。
来週以降は、決算発表が本格化することに加え、参院選という国内政治イベントも控えており、市場参加者の慎重な姿勢が強まりやすい局面に入ると考えられます。指数全体としてはもみ合いながらも、良好な決算を発表する中小型株や、外部環境の影響を受けにくい内需系銘柄に資金が向かいやすいタイミングです。
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