5月30日 押し目検索 |
今日の相場
今週の東京市場は、米国を中心とした関税政策の報道に振り回された印象が色濃く残りました。特に、トランプ前大統領による対EU関税発動延期や、その差し止めを巡る米国内の司法判断が相次いだことで、投資家心理は敏感に反応。株式市場も一進一退の展開となりました。
そのような中で、週末の30日、日経平均株価は大幅反落。前日比467円88銭安の37,965円10銭で取引を終え、再び節目の38,000円を割り込みました。前日のエヌビディア決算による急反発が幻だったかのような展開。為替が落ち着きを見せる一方で、株式市場には一層の慎重さが広がった形です。
とりわけ目立ったのは、半導体関連株の軟調さ。ディスコ、ルネサス、アドバンテスト、レーザーテック、スクリーンHDといった銘柄が軒並み下落し、日経平均の重荷となりました。これは、米国の対中政策や関税リスクが再燃する中で、成長セクターであるテクノロジー株に対する先行き不透明感が意識されたためと考えられます。
また、自動車株にも厳しい視線が注がれました。日野自動車、マツダ、日産、三菱自といった銘柄は、関税の影響を受けやすいセクターとして警戒売りの対象に。対米輸出依存の高い産業にとっては、今後の政策動向が神経質に注視される局面が続きそうです。
一方で、市場全体が弱含む中でも、ディフェンシブセクターや好材料を背景に買われた銘柄も見られました。武田薬品、エーザイ、大塚HD、協和キリンといった医薬品株は堅調。さらに、中国による水産物輸入再開の報道が好感され、ニチレイやニッスイも買いを集めました。
個別銘柄では、資生堂、良品計画、三菱重工、住友化学といった大型株にも買いが入り、マーケットが「全面安」というわけではなかったのが救いです。東証プライム市場全体では、売買代金が6兆5,000億円超と活況。これは、MSCIの指数構成銘柄見直し=リバランスによる特殊要因が寄与しており、需給主導の相場だったとも言えるでしょう。
業種別では、33業種中13業種が下落、19業種が上昇。値上がり銘柄はプライム市場全体の68.5%を占めており、指数に表れる印象以上に「銘柄選別」が進んだ一日となりました。
短期的には、米国の関税政策や為替動向、そして日本企業の業績見通し次第で市場の方向感は定まりづらい状況が続きそうです。特に6月には日米の重要な経済指標やイベント(FOMCなど)が控えており、ヘッジファンド勢を中心に短期資金が敏感に反応する可能性も。
テクニカル的には、38,000円が一つの心理的な節目になっており、ここを安定して上抜けるにはもう一段のポジティブ材料が必要。一方、下値では37,500円~37,000円近辺にかけては買い支えも期待されるゾーン。引き続き、為替や米中関係、そしてAI・半導体を巡る世界的な流れをにらみながらの神経質な展開が続くでしょう。
当面は、「一喜一憂型のレンジ相場」から抜け出せるかどうかが焦点です。