6月10日 今仕込んでおきたい注目の銘柄 |
今日の相場
先週末に発表された5月の米雇用統計は、市場予想を上回る結果となり、一時的にドル高・米株高を誘発しましたが、週明けの東京市場ではその反動からかドル売りがやや優勢となりました。ロサンゼルスで発生した不法移民関連の暴動報道も、若干ながら米国リスクを意識させる材料となったようです。ただ、為替の動きは全体的には安定的で、円安基調が続いていることもあり、日本株には追い風となっています。
9日の日経平均株価は、前週末比346円高の38,088円と続伸。5月29日以来となる38,000円台を終値で回復しました。朝方には一時436円高まで上昇し、38,178円の高値をつけましたが、戻り待ちの売りに押されて後場はやや膠着感のある展開に。とはいえ、堅調な地合いは維持されており、東証プライム全体でも値上がり銘柄数がやや優勢でした。
業種別では、医薬品、その他製品、銀行業、情報通信などが強く、特に中外製薬や第一三共といったディフェンシブ系の医薬品株、任天堂やアシックスなどの消費関連株、三菱UFJや三井住友FGなどの金融株が買われました。米金利の上昇が銀行株にとってプラスに作用している印象です。
一方、パルプ・紙、鉄鋼、金属製品など素材系の一部セクターは軟調で、王子HDや日本製鉄が売られました。個別株では、5月の既存店売上が好調だったエターナルグループが大幅高。ほかにもフジ・コーポレーションやエイチーム、テラスカイなど中小型株が目立ちました。一方で、カナモトや井関農機、メドピアなど一部銘柄は決算通過後の出尽くし感から売りに押されました。
米中関係に関しては、本日ロンドンで閣僚級協議が予定されており、緊張緩和への糸口がつかめるのか注目されます。通商摩擦の不透明感が後退すれば、日本企業にとっても心理的なプラス材料となるでしょう。
今週の焦点は、何と言っても12日に発表される米消費者物価指数(CPI)です。インフレ圧力の動向次第でFRBの利下げ時期の見通しも左右されるだけに、世界の金融市場が注視しています。足元ではリスクオフ要因がやや後退しつつあるものの、政策期待と不透明感が入り混じる状況が続いており、方向感に欠ける展開がしばらく続く可能性もあります。
日本株は堅調地合いを維持していますが、短期的には38,000円台での上値の重さも意識されており、利益確定売りに押されやすい局面でもあります。とはいえ、円安や企業業績の底堅さ、政策期待などを背景に、押し目では買い意欲も根強い印象です。
今週は経済指標の発表がやや少なく、イベントドリブンの展開になりやすいタイミングでもあります。水曜日のCPIやその後のFRB関係者の発言内容に注意を払いながら、引き続き慎重な姿勢で相場と向き合いたいところです。