7月18日 押し目検索 |
今日の相場
本日18日の東京市場は、三連休前の週末ということもあり、全体的に落ち着いた取引が想定された一日となりました。為替市場では、今週はドル円が146円〜148円のレンジで乱高下する場面がありましたが、総じてドル高・円安の流れが継続しており、市場ではじわじわとドル優勢の地合いが意識されています。ただし、為替の方向感は明確とは言えず、米経済指標やFRB関係者の発言などが短期的な材料となりそうです。
今週のマーケットを揺るがせたのは、トランプ前大統領によるパウエルFRB議長の解任報道と、その後の否定です。この報道は一時的に市場心理を冷やしましたが、米国の経済指標が概ね良好な内容だったこともあり、株式市場は全体的に堅調に推移しました。米消費者物価指数(CPI)は加速しインフレの粘着性を示した一方で、生産者物価指数(PPI)は予想を下回り、インフレのピーク感をにじませる内容となりました。加えて、鉱工業生産や小売売上高が力強い伸びを見せたことで、米株市場は堅調さを維持。ナスダック総合指数は連日で史上最高値を更新するなど、投資家心理はおおむねポジティブに傾いています。
こうした海外の流れを受けて、日経平均も朝方は4万円台を一時回復するなど堅調に始まりました。しかし、参院選の投開票を週末に控えていることや、東京市場が3連休を迎えるというスケジュール的な要因もあり、積極的な買いは手控えられ、次第に利益確定の動きが広がりました。午後にかけては弱含む展開となり、最終的には前日比82.08円安の3万9819.11円と反落しました。TOPIXも5.33ポイント安の2834.48ポイントと小幅に下落しています。
業種別では、不動産業、空運業、パルプ・紙、鉄鋼、機械、小売、ゴム製品、建設などが軟調でした。三井不動産や住友不動産、JAL、ANAなどの主力銘柄が売られ、ディスコやSMC、7&iHD、ファーストリテイリングなども下落しました。個別銘柄では、ディスコの7-9月期見通しが市場にネガティブに捉えられ、半導体関連全体に売りが波及。IHI、三菱重工、川崎重工、任天堂、トヨタ、ソニーグループなどの大型株も軟調でした。
一方で、上昇が目立ったのは情報通信や証券、非鉄金属セクターで、ソフトバンクグループ、LINEヤフー、SBI、野村、古河電工、フジクラなどが堅調に推移しました。また、SBIホールディングス関連の割当増資報道を材料視したアドバンスクリエイトが急騰し、宮越ホールディングス、ノリタケ、YTLなどが値上がり率上位に顔を出しました。こうした中小型株への資金流入は、相場が高値圏で方向感に欠ける局面において、投資家がテーマ性や業績に着目した個別物色に動いていることを示唆しています。
今後の相場は、米国のインフレ動向と金融政策が依然として最大の関心事項となります。CPI・PPI・小売売上高といった一連の強い経済指標を受けながらも、年内のFRB利下げ観測は根強く、マーケットの織り込みは据え置きが主流です。ウォラーFRB理事のように、早期利下げを主張する声も一部にあるものの、FRB内部では少数派にとどまっており、政策スタンスに大きな変化が出る可能性は限定的です。また、日本国内では参院選の結果次第で財政・経済政策への思惑が広がる可能性もあり、選挙後の市場の反応には注意が必要です。
日経平均は依然として上昇トレンドの中にありますが、心理的節目である4万円台では上値の重さが意識され、当面は39,500円~40,200円のレンジでもみ合う展開が想定されます。移動平均線との乖離も大きくなっており、テクニカルな過熱感もあるため、押し目を待つ投資家が増えている状況です。25日移動平均線(現在約39,200円前後)が下値支持として意識されつつ、半導体関連の決算や米企業の業績発表、為替の動向次第でレンジを上抜けできるかどうかが注目されます。
来週前半はイベント通過待ちの様子見ムードが続きやすく、ボラティリティはやや低下しそうです。ただし、決算発表が本格化するにつれて、好業績銘柄を中心に個別株物色が活発化する展開も想定され、指数の動き以上に銘柄選別の巧拙が問われる局面に移行していくと考えられます。中長期的には業績や財務内容のしっかりした銘柄に資金が集まりやすく、特に成長期待の高いテクノロジー・インフラ関連などには引き続き注目したいところです。