7月8日 今仕込んでおきたい注目の銘柄 |
今日の相場
週明けの東京株式市場は、海外勢の動意薄や材料難が意識される中、軟調な滑り出しとなりました。日経平均株価は前週末比223円20銭安の3万9587円68銭と3日ぶりに反落。TOPIXも16.23ポイント安の2811.72ポイントと下落しました。米国市場が独立記念日の祝日で休場だったこともあり、積極的なリスクテイクは控えられ、国内市場は方向感に乏しいまま終始しました。
背景には、トランプ前大統領による関税通告の「7月9日期限」が意識されたことがあり、市場には警戒感が漂っています。本日中にも12通から15通の書簡が送付される可能性があると伝えられ、市場では「TACO(Take And Compromise Offer)」とも称される交渉型の関税戦術が再び浮上するとの見方もあります。発効は8月1日とされているものの、その影響度合いや対象国によっては、株式市場や為替に短期的なショックが生じる可能性も否定できません。
東証プライム市場の騰落銘柄数は、値上がりが597銘柄にとどまり、値下がりは968銘柄と全体の6割弱が下落する結果となりました。業種別では全33業種中24業種が下落。特に非鉄金属、鉄鋼、銀行といった景気敏感セクターの下落が目立ち、古河電工や住友電工、日本製鉄、JFE、三菱UFJFG、三井住友FGなどが売られました。前週末に決算を発表した安川電機も業績下方修正を嫌気して急落。機械セクター全体に波及し、東洋エンジニアリングやSMCなども連れ安となりました。
一方で、小売やサービス業などディフェンシブ性のあるセクターには買いが入りました。イオンやパンパシフィックインターナショナル(ドン・キホーテ)、リクルートHD、ベイカレントなどが堅調。また、リクルートに加え、良品計画や円谷フィHD、セルシスなどが市場の注目を集め、上昇率上位に顔を出しています。防衛関連では、三菱重工、川崎重工、IHIが堅調に推移。地政学リスクや政策テーマへの物色の流れが依然として健在であることを示しています。
為替は、米10年債利回りが4.32~4.33%で高止まりしており、先週の強い雇用統計の影響が続いています。これを背景に、ドル買いの流れがやや優勢となっており、ドル円はじりじりと上値を試す展開です。ドル指数(DXY)は97.13前後で推移しており、短期レジスタンスとなる10日移動平均線(97.205)との乖離はわずかで、節目を超えるかどうかに注目が集まります。日本がトランプ氏の関税通告対象国に含まれる場合、円買いへの反応もあり得るため、為替市場でも政治リスクへの警戒は継続されます。
目立った経済指標の発表が今週前半は見込まれておらず、米ISM非製造業指数や米CPIなど重要指標が出るまでは、投資家の関心はトランプ関税や米中対立などの政治要因に向かいやすい構図となっています。TSMCが熊本第2工場の建設延期を検討しているとの報道も、日本の半導体投資ストーリーに対する不透明感を強める材料となりつつあります。
テクニカル的には、日経平均は4万円の大台を前にして跳ね返される場面が続き、心理的な上値抵抗として意識されています。25日移動平均線(3万9400円台)が目先のサポートとして機能していますが、これを明確に割り込むようであれば、短期的な調整局面入りも視野に入ります。一方で、騰落レシオはやや中立的な水準で、過熱感はなく、出来高も減少傾向にあるため、売り急ぐ展開にはなりにくいとも言えます。
需給面では、7月上旬は中間決算前の手控えムードや夏枯れ相場の影響が出やすく、裁定解消売りなども警戒されます。ただし、3万9000円割れでは押し目買いの動きも強まると見られ、短期的にはボックスレンジ(3万9000~4万円)内での推移が続く可能性が高そうです。
日米の金利差や政治リスク、企業業績の先行きなど多様な要因が錯綜しており、方向感に欠ける相場が続いています。今週は決定的な買い材料に欠けるため、ニュースフローに一喜一憂する展開となりやすい一方、テクニカルの節目を巡る攻防にも注目が集まります。