6月20日 押し目検索 |
今日の相場
今週の日本株市場は、地政学的リスクや外部要因に神経質な動きが続く中で、日経平均株価は続落となりました。20日の日経平均は前日比85円安の38,403円、TOPIXも20ポイント以上の下落となっており、2営業日連続の軟調地合いとなりました。特に、米国の中東介入リスクが引き続きマーケットの重しとなっており、週末にも対イラン攻撃が現実味を帯びるとの見方から、投資家心理は慎重になりました。
ただし、ホワイトハウスが「2週間以内にトランプ米大統領が決断を下す」としたことが伝わり、市場では即時的な軍事行動の可能性がやや後退しました。これを受けて、中東リスクへの過度な警戒感はやや和らぎつつあります。ドル指数も上昇が一服し、いわゆる“リスク回避のドル買い”も小休止となりました。
20日の東京市場では、寄り付きこそ小幅な下落でスタートしましたが、場中は方向感に乏しく、前日終値を挟んで小動きが続きました。後場にかけては買いがやや優勢になる場面もありましたが、終盤にはまとまった売りが入り、結局は安値引けとなりました。市場参加者の多くが週末要因を警戒し、ポジション整理に動いたと考えられます。
東証プライム市場の売買代金は6兆6,000億円を超え、出来高も27億株を上回るなど、活発な売買が続きましたが、個別銘柄では値下がりが全体の約7割を占め、全体としては調整局面が色濃く出ました。
業種別では、33業種中31業種が下落しました。その他製品、保険、鉱業、水産農林業、証券業、サービス業、鉄鋼、ゴム製品など、景気敏感株を中心に売りが目立ちました。特に、アシックスや任天堂、MS&AD、東京海上、リクルートHD、日本製鉄などの大型株が軟調に推移しました。
一方、上昇したのはパルプ・紙と海運業の2業種のみで、王子HDや北越コーポ、日本郵船、商船三井が買われました。米国と中東の緊張による海上運賃上昇期待が海運株への追い風となった模様です。
個別銘柄では、大幸薬品が前日からの上昇を引き継ぎストップ高となりました。主成分「木クレオソート」がアニサキスの運動を抑制するという発表が材料視されました。また、インターアクションも、ソニーセミコンのCMOSセンサー市場シェア拡大見通しを背景に急騰しました。
このほか、アマダやオカムラ食品工業、名村造船など、業績材料や政策期待を背景に急伸した銘柄もあり、物色の流れは明確に“テーマ・業績連動型”へと移行しました。一方で、投資判断の引き下げや業績懸念が報じられたホシザキやウィルソンLWなどは大幅に売られ、選別色が強まりました。
為替は、ドル円がやや上値重く推移し、ドル高は一服感を見せました。これは、米FOMCの金利据え置きや、インフレ観測の継続などを材料に一時的にドル買いが強まりましたが、中東情勢のやや沈静化とともにリスク警戒のトーンが緩和されたことによるものです。
この後の海外市場では、米フィラデルフィア連銀景況指数や米景気先行指数などの経済指標が控えており、結果次第ではドル買いが再燃する可能性もあります。ただし、どちらも前回値からの改善が予想されており、ドルの下支え要因として機能しそうです。
また、欧州ではECB経済報告の発表が予定されているものの、大きなサプライズは想定されておらず、引き続き中東情勢や米中通商摩擦に関する報道に注視が必要です。
目先では、中東情勢や米国の政策判断といった外部環境が相場の不安定要因として意識されがちですが、その一方で、いまマーケットには「ポジティブサプライズの余地」も多く残されていると考えられます。
まず、地政学リスクに対する過度な懸念はすでにある程度織り込み済みであり、ホワイトハウスが「2週間以内の決定」としたことで、市場では軍事衝突への即時的な反応がやや後退しました。これにより、リスク資産に対する買い意欲が再点火する余地が生まれており、特にグロース株やハイテク関連には資金が戻りやすい環境となっています。
米国の利下げタイミングに関しても、FOMCメンバー内で見解が分かれているものの、市場では「年内利下げ」の可能性を引き続き織り込んでいます。これはグローバル市場にとっては金融緩和方向への転換点であり、日本を含めた株式市場全体にとって支援材料となるでしょう。
国内では、インフレ率が比較的安定していること、日銀の緩和姿勢が続いていることから、日本企業にとっては資金調達環境が良好に保たれており、設備投資やM&A、自社株買いといった積極戦略を取る企業が目立ち始めました。これが株主還元策の強化や企業価値の再評価につながる構図が見え始めています。
実際、半導体や防衛、再生可能エネルギー分野を中心に、中長期の成長を見据えた投資家の資金流入が確認されており、企業の収益成長が株価を支える展開となる可能性が高いと見ています。テーマ性のあるセクターでは、再び循環物色の動きが活発化することで、指数全体の底堅さにつながっていくことも想定されます。
加えて、円安が進行しにくい環境が継続するなかで、為替の過度な変動リスクも和らぎつつあり、外需依存型の企業にとっては収益計画が立てやすくなる局面です。これにより、2025年後半の業績見通しの上方修正が相次ぐ可能性も視野に入ります。
目先は上値の重さを意識しつつも、押し目買いの意欲は強く、38,000円を大きく割り込まない限りは、個別材料を軸とした相場展開が続くものと見られます。