6月11日 今仕込んでおきたい注目の銘柄 |
今日の相場
本日10日の日経平均株価は、前日比122円94銭高の38,211円51銭と3日続伸となりました。TOPIXも小幅に上昇し、全体としては底堅い動きが見られましたが、午後の取引ではやや不穏な空気が市場を包みました。
前場は円安基調を背景に買いが先行し、特に米中貿易協議への前向きな期待が投資家心理を支えました。日経平均は一時400円超高となる場面もあり、堅調なスタートとなりました。しかし、午後2時頃に発表された台湾TSMCの5月単月売上が前月比で約8%減となったことが嫌気され、半導体関連株を中心に失速。結果的に日経平均も上げ幅を大きく縮小して取引を終えました。
業種別では、海運、精密機器、鉱業、化学、不動産などが上昇。一方で、保険、倉庫・運輸関連、銀行業などが軟調でした。個別銘柄では、双葉電子や住友ファーマ、GMOインターネット、Bガレージなどが上昇し、市場の注目を集めました。特にBガレージは、好調な業績見通しが評価され大幅高となりました。
一方、ディスコやアドバンテスト、東京エレクトロンなどの半導体関連株は売られました。また、ソニーグループ、ファーストリテイリング、三菱商事、日立、IHIなどの主力株も軟調に推移しており、後場の地合いの弱さが色濃く出ました。
為替市場では、ドル円が145円目前の水準から一時144.50円を割り込むなど、やや円高方向に振れました。材料が乏しい中での円高進行ということもあり、市場全体に不安心理が広がっている様子が見受けられます。
その背景には、やはり現在進行中の米中貿易協議があります。本日はロンドンでの2日目の協議が日本時間18時に始まる予定です。中国側はレアアースを、米国側はエヌビディアのAIチップ禁輸をそれぞれ交渉のカードとしており、緊張感は依然として高い状況にあります。とりわけ、協議がポジティブな形で終了するか、それとも対立が深まるかによって、明日以降の市場の方向性が大きく左右されそうです。
今夜の海外経済指標は少なく、南アフリカの製造業生産高くらいで、材料難の様相です。そのため、市場の注目は引き続き米中の交渉の行方に集中する見込みです。加えて、欧州中央銀行(ECB)の高官らによる講演や、米3年債の入札なども控えており、金利動向や為替にも注意が必要です。
足元では、米中協議の進展期待が相場を下支えする一方で、その進展が実を結ばないリスクもはらんでいます。半導体株の反応を見る限り、外部環境に対するセンシティビティが極めて高まっている状況。引き続き、為替の急変動や米中間の報道ヘッドラインには注意が必要です。
テクニカルには38,500円台で上値の重さも意識され始めており、一段高には材料不足の感も。反対に、米長期金利や為替が落ち着いている間は、大崩れもしにくい環境といえるでしょう。短期的には神経質な値動きが続きつつも、交渉進展などポジティブサプライズが出れば、再び強含みの展開も期待できそうです。