6月20日 今仕込んでおきたい注目の銘柄 |
今日の相場
ドル指数は10日移動平均線を明確に上回り、現在は21日線を試す動きへとシフトしています。背景には、米国が週末にもイランの核施設を攻撃する可能性が取り沙汰されるなど、中東情勢の緊迫化があり、リスク回避の動きとしてドルが選好されやすくなっています。パウエルFRB議長の発言もドル買い圧力に拍車をかけました。関税がインフレに与える影響を警戒する姿勢が示されたことで、市場では年内の早期利下げ観測が後退し、当面は高金利維持との見方が強まっています。
18日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利は据え置かれ、スタッフ予測も「年内2回の利下げ」が維持されましたが、内部には1回利下げや据え置き継続といった異なる意見も見られ、金利見通しは依然として不透明です。ただし、パウエル議長が今後数カ月のインフレ加速に言及したことで、マーケットは利下げに慎重な姿勢を織り込みつつあります。
為替市場では、ユーロやポンド、豪ドルなどに対してもドル高傾向が鮮明であり、ドル円は一時売りが先行したものの、その後は前日比でおおむね横ばいに戻しています。クロス円は全体的に軟調で、リスク警戒の流れの中で円買いの側面もわずかに出始めているものの、円高基調が主導的というには至っていません。
一方、19日の東京株式市場は、前日の米国株がまちまちであったことや、ジューンティーンス(奴隷解放記念日)の休場を控えて様子見ムードが強まるなか、日経平均株価は反落して取引を開始しています。中東情勢の不透明感と、直近3日間で1,000円を超える上昇を記録していたことから、目先的な利益確定売りが優勢となり、後場にかけてじりじりと下げ幅を広げました。大引けでは前日比396円81銭安の38,488円34銭と、安値引けで取引を終えています。
業種別では、医薬品、電気機器、輸送用機器、海運、化学、サービス業など幅広い業種が軟調となっています。特に、アドバンテストやレーザーテック、東京エレクトロンなど一部の主力半導体関連株の下落が指数に重しとなりました。一方で、水産・農林、陸運、小売など一部ディフェンシブセクターが堅調に推移しています。個別銘柄では、セガサミーホールディングスが前日のマネジメントミーティングを材料に急騰したほか、大幸薬品、電気興業、三井松島HDなどが値上がり率上位となっています。
欧州市場では本日、スイス、英国、ノルウェー、トルコ各国の中銀が政策金利を発表しています。なかでも注目されるのは、スイス中銀による利下げの可能性で、市場は25bpの利下げにより政策金利が0.00%となるとの見方が大勢です。ただし、中東情勢の緊迫化を受けてフランが逃避通貨として買われる可能性があるため、利下げによるフラン売りは一時的にとどまる公算が大きいと見られています。
英国については、政策金利4.25%が据え置かれる見通しですが、弱い経済指標を背景に年内2回程度の利下げを市場は織り込んでいます。今回は「スーパーサーズデー」ではないため経済予測は発表されませんが、9人の金融政策委員による票割れの行方が注目されています。
今後の日経平均株価は、しばらく38,000円台前半から38,800円台後半までのレンジでの推移が基本シナリオですが、イラン核施設への実際の攻撃が起きた場合には37,000円割れまでの急落リスクも警戒すべき局面です。需給面では、過熱感が一服した一方で、戻り売り圧力が根強く、企業決算発表が本格化するまでは上値を追いにくい展開が続く見通しです。7月にかけては、マクロ経済指標、特に米PCEインフレ指標の内容がカギを握ります。市場は、インフレ鈍化が確認されれば改めて緩和期待に動きやすくなり、日経平均は39,000円台の回復を試す展開も考えられます。ただし、それには中東リスクの収束と米長期金利の安定化が前提条件となります。
現時点では、景気敏感株に対しては慎重な見方を維持しつつ、ディフェンシブセクターや政策テーマ関連(防衛・インフラ・再エネ)への選別的な資金シフトが継続すると予想されます。特に、三菱重工やJR東日本、東京電力などは今後も市場の注目を集めやすい銘柄群であり、下値での押し目買い対象となり得ます。一方、半導体や海運などグローバル需要に左右されやすいセクターは、短期的なボラティリティ上昇に警戒が必要です。全体として、日本株市場は地政学的な外部要因と米金融政策を睨みながら、個別物色中心の相場が続くと見込まれ、当面はリスク管理を意識した運用スタンスが求められる局面となっています。