6月27日 今仕込んでおきたい注目の銘柄 |
今日の相場
本日の東京株式市場は、3営業日続伸となり、日経平均株価は前日比642円51銭高の39,584円58銭と大幅高で取引を終えました。1月31日以来およそ5か月ぶりの水準を回復し、心理的節目の39,500円台を明確に超える展開となりました。市場は引き続き、半導体関連の好材料と中東情勢の安定、米金利観測の変化に支えられています。
前日の米国市場では、ナスダック指数がハイテク株主導で底堅く推移しました。特に、エヌビディア(NVDA)やマイクロン・テクノロジーの好業績見通しが好感され、グロース株への選好が再び高まっています。この動きが東京市場にも波及し、半導体セクターを中心に買いが先行しました。
本日は為替市場にも注目が集まりました。米ウォールストリート・ジャーナル紙が「トランプ大統領がパウエルFRB議長の後任指名を急ぐ可能性」と報じたことで、米中銀の独立性に対する懸念が強まりました。後任候補にはハセットNEC委員長やマルパス元世銀総裁など、トランプ氏に近い人脈が挙がっており、市場では「利下げ志向の強い体制への移行」を警戒する声も出ています。
その影響からドル売りが強まり、ドル円は一時144円台半ばへと下落。ドル指数も年初来安値を更新しており、為替市場ではドル安の基調が明確に強まりつつある状況です。ユーロドルは1.17台を回復し、2021年9月以来の水準を記録しました。
ただし、ドル安は日本株にとってはやや逆風です。とりわけ輸出企業には収益圧迫要因となるため、今後の為替動向は株式市場にとって無視できないリスクとなってきそうです。
東京市場では、業種別に見ると非鉄金属、電気・ガス、保険業、卸売、機械、小売など幅広いセクターが上昇しました。特に、半導体関連株は軒並み上昇しており、アドバンテ〈6857〉、東エレク〈8035〉、レーザーテック〈6920〉などがしっかりと買われました。
その他、フジクラ〈5803〉、サンウェルズ〈9229〉、メドピア〈6095〉、荏原製作所〈6361〉などが値上がり率上位に顔を出しました。TOB期間延長で思惑が高まったメドピアなど、材料株への短期資金流入も活発でした。
一方で、精密機器や医薬品、食料品などディフェンシブセクターは冴えず、HOYA〈7741〉、第一三共〈4568〉、ヤクルト〈2267〉などが軟調でした。特にヤクルトは5月の月次データが嫌気されて大幅安となりました。
マーケットは現在、中東情勢の安定を確認しながら、次の材料として「米金融政策と政局」に視線を移しつつある段階です。トランプ前大統領の動向は、政治リスクというよりも「金融政策の方向性」に関する重要なシグナルと受け止められており、FRBの独立性を巡る懸念は市場のボラティリティを高める要因となっています。
今後の注目材料としては、本日夜に発表される米国の耐久財受注、新規失業保険申請件数、GDP確報値などが挙げられます。加えて、FRB関係者やECB、英中銀の要人発言も相次ぐ予定となっており、7月のFOMCに向けた「利下げ織り込み度」の変化が相場の転機となり得ます。
国内では、決算期末に向けた需給要因も意識されつつ、円高進行が一段と加速すれば輸出株に調整圧力がかかるリスクも出てきます。逆に、資源価格下落やエネルギーコスト低下は、内需・消費関連にとってポジティブ材料となり得ます。
日経平均株価が2月の高値(39,098円)を超えて推移しており、チャート上は新たな上昇トレンドの入り口に立っている可能性が高まっています。特に、5日移動平均線と25日線が再び上昇に転じ、MACDもシグナルを上回るゴールデンクロスを形成しており、買いシグナルが点灯しています。
ただし、39,500円を超えた水準では、年初来高値を更新したことによる利益確定売りが入りやすい局面でもあります。過熱感を示すRSIは70台に迫っており、短期的には調整リスクにも備える必要があります。下値の目安としては、38,800円〜39,000円あたりがサポートラインとして意識されそうです。
外部環境の安定と米国発の金融政策期待に支えられ、日経平均が節目を上抜ける強い動きとなりました。今後は、米国の経済指標・FRBの利下げタイミング・トランプ政権の動きという3つの視点が交錯する形で相場が展開されることが予想されます。
引き続き、半導体・グロース銘柄を軸にしつつ、円高耐性のある内需関連や資源安恩恵セクターへの分散投資が有効です。