6月27日 押し目検索 |
今日の相場
今週の東京株式市場は、世界的なリスクオンムードに後押しされる形で堅調に推移しました。日経平均株価は週末27日に前日比566円高の40,150円79銭と、4日続伸となり、ついに年初来高値を更新。1月7日以来、約5カ月ぶりに節目の4万円台を回復する展開となりました。
背景には、中東情勢の一時的な落ち着きがあります。イランとイスラエルの停戦合意が伝えられたことで、地政学リスクが和らぎ、市場心理を大きく押し上げました。ただし、イランは国内向けに“勝利宣言”をするなど強硬姿勢を崩しておらず、またイラクの消極的な対応や、イラン核施設への攻撃被害の不透明さなど、依然として火種はくすぶっております。
また、米国ではトランプ前大統領がFRB議長の早期指名に言及したとの報道があり、これを受けて米国市場では利下げ観測が再燃。26日の米株式市場では、ナスダック総合指数が年初来高値を更新するなど、投資家心理が大きく改善しました。金利低下を背景にハイテク株を中心に買いが集まり、NVIDIAの株価上昇が特に目立ちました。
その流れを受けて日本株も堅調に推移。全33業種中29業種が上昇し、非鉄金属、輸送用機器、証券・商品先物などが値上がり上位となりました。個別銘柄では、ファーストリテイリング<9983>、ソフトバンクG<9984>、トヨタ<7203>、任天堂<7974>、ソニーG<6758>などの主力株が軒並み買われ、東エレク<8035>、レーザーテック<6920>など半導体関連の一角も堅調でした。
一方で、原油価格の反落などを背景に、INPEX<1605>などの鉱業株、JT<2914>やアサヒ<2502>などのディフェンシブ株は軟調。また、有価証券報告書の提出延期を発表したニデック<6594>は警戒感から売られました。
為替相場についても、やや円高方向に振れつつあります。これは米国でのインフレ鈍化観測と利下げ期待が強まった結果、ドル売りが優勢となっているためです。今後の為替動向は、インフレ指標およびFRB高官の発言次第となるでしょう。
今晩(27日)には注目の米PCE物価指数(5月)が発表されます。市場予想は前年比+2.3%、コア指数は+2.6%と、やや粘着性のあるインフレが見込まれており、これが利下げ期待を冷やす可能性もあります。加えて、来週3日には米雇用統計が控えており、賃金や雇用者数が堅調であれば、一段と市場の金利観は揺れ動くことになりそうです。
日本市場においては、米国の政策スタンスに大きく左右される形が続くものの、年初来高値を更新したことで、企業業績や政策期待(特に賃上げ・設備投資支援)など国内要因への注目も再び高まりつつあります。
日経平均は節目の4万円台を回復したことで、テクニカル的には強気トレンド継続中です。ただし、5連騰かつ週末ということもあり、短期的な過熱感には注意が必要です。RSIやストキャスティクスでは一部過熱圏入りしており、週明けには利食い圧力が出る可能性があります。
次の上値目標は、取引時間中の年初来高値(40,288円80銭)超えと、心理的節目の40,500円〜41,000円ゾーン。下値では、25日移動平均線(現在39,000円台後半)と心理的節目の39,000円がサポートラインとなるでしょう。
今週は中東情勢の緩和と米利下げ期待が市場を支える格好となりました。とはいえ、米インフレ指標や雇用統計次第で、再び流れが変わる可能性もあります。今後も「インフレと利下げ期待」の綱引きが、株式市場全体のムードを左右しそうです。